漢方の症例
慢性の片頭痛
だいぶ前のものですが、思い出に残る症例を掲載します。
初回相談平成14年7月。45歳女性、慢性の片頭痛。肩こり酷く、生理前に症状が悪化する。生理周期は25日~30日。漢方薬店で加味逍遙散、桂枝茯苓丸などを試したが効果が無かった。足が浮腫みやすい。子供の頃からしもやけになりやすく、手足が冷える。冷房が入ると途端に肩がこる。食欲は、本人としては普通。胃腸症状なし、生理前にやや便秘。水分の摂取は多い様子で、汗はかかない。小便は多い。
舌診は、苔なくやや湿、太陰病。病院ではエルゴタミン製剤などの投薬を数年受けているが、改善しない。
問診事項から、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、または呉茱萸湯や温経湯、その他桂枝人参湯、半夏白朮天麻湯などが予想されたが、糸練功で百会、頭部を調べると1合に脾の虚証が強く認められる。
適方は意外にも四君子湯であり、前記の処方は適さないと思われた。四君子湯エキス剤1/2量で服用していただいた。四君子湯のみで、1ヵ月様子をみることにした。
8月。前回の服用からしばらくして、全く痛みを忘れたと言う。痛みが無いので、薬がなくなりそうになったので1日1回の服用に減らしていた。薬が切れてから、また時々痛むので次の薬を頼まれた。
11月。服用後は痛みが無かったが、ついでがあり来店。当日の服薬は無くて、脾の虚はだいぶ改善されているように感じた。
嘘のように症状がでないとのこと。念のために、もう少し続けて四君子湯を飲んでいただくこととした。
その後、再発していないものか、だいぶ経ちましたけども時々思い出します。
漢方薬を飲んでいると、その薬方の目標とは関係がなさそうな症状が不思議と取れてしまうことがあります。不思議ですが、漢方の醍醐味だと思います。