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栗園醫訓五十七則 解説(4)

一、各国の風土病情を審らかにすべき事。

風土病という言葉の通り、土地によって日常食べるものも違えば、水も空気も変わりますから、土地によって起こりやすい病気の傾向を知っておくのも大事ですね。

狭義の風土病を考えるより、季節によって多い病気など広義に捉えて考えていくべきでしょう。

一、病情病機と云うことを弁別して、其の情機を失ふべからず。

病気のもっている性情(病情)と勢いや流れ(病機)をよくみろということでしょう。

病情病機は、患者さんの病気の流れを考えていく上で大事なことと思います。流れを見渡す。

一、正気と邪気とを紊るべからず。

正気と邪気をごっちゃにするなと。
紊る(みだる)べからずと読みます。

正気の虚を虚証、病邪の実を実証と漢方で言います。
漢方で使うものさしは色々ですが、それぞれをごっちゃにしないことです。

一、巫を信じて医を信ぜざるものと、財を重んじて命を軽くするものは、速やかに辞しさるべし。


これは、非常に大事です。

「巫(ふ)を信じて・・・」とは、占いの言うことばかり聞いて、医者の言うことを素直に聞いてくれない人。そんな患者さんは治せないから速やかに手を引けと。
「財を重んじて・・・」とは、自分の命よりもお金が大事な人も、治せない。

これは決して信仰心やお金を否定しているのではないです。
「素直に聞いてくれない患者さんは治せない」ということです。昔から不治と言われているものの代表がこれです。

今の時代におきかえると、テレビや雑誌で言ってることばかり信用してこちらを信用しない人
インターネットで自分で調べて「これを飲みたい」「今度はあれを飲みたい」という人

こういう人たちはまず治せない。

漢方はそこそこに、通販の健康食品を次々と買って飲んでいるような人も

こちらは治ってもらいたくて必死にやっていますからね。お互いに相手を重んじて素直に話せる、同じ目線で同じ目標に向かえる関係でないとできません。ホント、痛感します。

一、少年、壮年、老衰に拘りて、治を誤るべからず。


患者さんの年齢は当然考慮しなければならない部分である一方で、先入観のもとにもなりやすいから、それに拘って誤ってはいけないよという教えでしょう。


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