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栗園醫訓五十七則 解説(2)

一、虚心にして病者を診すべし。何病を療治するにも、兎角早見えの為る時、拍子に載せられて、誤るものなり。

これは読んでそのままです。
先入観を持っているとミスをおかしやすいということです。

望診の段階で得られたことと、問診の段階で得られたことと、必ずしも一致するとは限らず、望診でおよその病位の見当をつけながらも、いったん先入観を捨てて患者さんの訴えに耳を傾ける気持ちが大事です。でも、痛いところをつくなあと思います。

一、新病と痼疾とを別ち、先ず新病を治して而る後に痼疾を療すべし。

漢方の治療原則についての言葉です。
生きていれば、なんらかの身体の異常があるものです。

複数の病気がある場合、その治療順序は、新しい病気から古い病気へ。

漢方の治療原則である「先表後裏」という原則、例外としての「先急後緩」は忘れずにですね。

一、古法を主として、後世方を運用すべき事。

勿誤薬室方函序列には、

「先生、平日古方を喜び、新方を喜ばず。単方を愛し、複方を愛せず。然れども、時有ってか新、時有ってか複、各其の宜しきに適するのみ。」とあります。※先生とは浅田宗伯先生。

亀井南冥先生は、

「医者意也意生於学方無今古要期乎治」

(医は意なり、意は学に生ず、方に今古なし、治を期するを要す)と残しています。
後に大塚敬節先生が亀井南冥のこの文について、
「医術に古方だの今方だのの区別はない、病気を治せばよいのだ」
と意訳されました。(『漢方診療三十年』の序文)

矢数道明先生も後世方の世界から漢方に入られたと思いますが、古方、後世方、一味の生薬末、お灸・・・縦横無尽に使われています。

現実には縦横無尽に使われた浅田先生が、古法(『古方』を含めてその医学体系全般を『古法』としたと思われる)を主として・・・と言われたのは、学ぶ順序、考えるときの順序のことでしょう。
シンプルな古方の法則をしっかり踏まえた上で、複雑な後世方を運用していくのは学ぶ順序としても大変重要と思います。


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解説(3)へ続く